2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国北朝隋唐期における国家と地方社会に対する仏教信仰及び教団の政治的役割の研究
Project/Area Number |
21720265
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
高瀬 奈津子 Sapporo University, 文化学部, 准教授 (00382458)
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Keywords | 東洋史 / 仏教史 / 政治史 / 社会史 |
Research Abstract |
本研究は、中国北朝隋唐期における国家支配および地方社会の秩序維持にたいして、仏教信仰および仏教教団がどのような役割を果たしたのかを、石刻史料を通じて明らかにし、当時の為政者や地方社会の成員と、仏教教団双方がどのような政治的関係にあったのかを考察することが目的である。そのために、平成21年度の研究計画では、まず第1年目であることから、研究基盤の整備を中心として、1.仏教石刻史料の収集とデータ入力、2.唐代の宦官墓誌史料の収集とデータ入力、3.唐代の宦官の政治動向を明らかにし、仏教政策や教団との関係を検討、4.中国での石刻史料調査と情報収集、5.隋唐史および中国仏教石刻・文物をめぐるシンポジウムでの研究報告をおこなうことになっていた。研究計画に基づき、平成21年5月15日の第54回国際東方学者会議において、「山東東部の仏教石刻と山東貴族」という題目で報告した。報告では、山東の名門貴族である清河崔氏を中心に、北朝末における有力貴族層の地方社会に対する影響力を検討したうえで、それが山東地方の造像活動にどう関わるのかを考察した。また、8月25日の唐代史研究会2009年度夏期シンポジウムにおいて、「唐代後半期の軍費の拡大と延資庫の成立」という題目で発表した。また、3月7日から13日にかけて中国の西安に行って複数の博物館を訪問し、最近収蔵している北朝隋唐期の墓誌や造像碑などの石刻史料の所蔵調査を行った。さらに、唐代の宦官墓誌の整理とデータ入力も開始し、その過程で複数の墓誌の誌文の表現方法について検討を加えており、その成果を2010年度に研究報告する予定である。
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