2009 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジアにおける押圧細石刃剥離方法の出現と展開に関する比較研究
Project/Area Number |
21720280
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高倉 純 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 助教 (30344534)
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Keywords | 考古学 / 石器 / 北東アジア / 押圧剥離法 / 細石刃 / 旧石器時代 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、北東アジアにおける押圧細石刃剥離方法の出現と展開の具体相を明らかにすることにある。具体的には、剥離実験の知見にもとづいた剥離方法の同定作業を通じ、石器群のライフヒストリーのなかで押圧剥離方法がどのように組み込まれているのかを、北東アジアの細石刃石器群を対象に明らかにしていきたい。そのために国内および国外で関連資料の比較をおこなうための調査分析を実施し、あわせて資料的な欠落が依然として続く細石刃石器群の出現段階に関しては、発掘によって新たな資料体の確保につとめたい。本年度は第一に北海道での資料調査と野外調査、第二にロシアでの資料調査、第三に関連する剥離実験を実施した。北海道は、日本列島やその周辺地域のなかで、細石刃石器群の出現年代が最も古くに遡ることが、確実なデータにもとづいて把握されている地域の一つである。本年度は、細石刃石器群の出現前後の段階に帰属する石器群を対象に、接合資料を主な資料体とし、細石刃剥離にいたる過程の剥離方法の同定を主目的とした資料分析を実施した。また、恵庭a火山灰下位の層準に帰属する石器群の発見・確認を目的とした一般調査もおこなった。細石刃石器群の出現過程が技術的にトレース可能なシベリアもまた、細石刃石器群の山現を論じるうえでは重要な地域である。本年度は、シベリアの細石刃石器群とそれに伴う骨角器などを対象とした資料分析をおこなった。関連する剥離実験としては、押圧細石刃剥離の際の固定法や固定具を把握するための基礎的な実験を、考古資料の観察とフィードバックさせながら実施した。
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