2010 Fiscal Year Annual Research Report
食料加工技術からみた北日本における農耕受容過程に関する研究
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21720282
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
上條 信彦 弘前大学, 人文学部, 講師 (90534040)
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Keywords | 石器使用痕 / 残存デンプン / 民族資料 / 縄文 / 農耕 |
Research Abstract |
(1)実地調査による考古学資料からの使用痕分析と残存デンプン粒分析 実地調査は、分析に良好な資料を保管している青森県埋蔵文化財センター、山形県埋蔵文化財センターで実施した。縄文晩期の比較的時期が明瞭な資料を扱ったため、使用痕の地域的変遷を解明できる有効なデータを得ることができた。特に晩期の堅果類加工に用いられたことの明らかな水さらし場状遺構周辺検出の磨石・石皿の使用痕の特徴を明らかにできた。同時に、晩期の複数の遺跡から残存デンプンを検出することに成功した。形状・大きさのばらつきが少ないため、加工対象物の種類が限られることが想定される。 (2)実験による使用痕データ収集および現生デンプン標本の拡充 岐阜県白川村・北海道平取町・北海道立開拓記念館・国立民族学博物館にて民族資料の使用痕分析と残存デンプンの調査を行った。これまで木製民具の詳細な使用痕分析や残存デンプン分析は行われてなく、その有効性が検証できた点で意義を持つ。特に、アイヌ民族資料における根茎類対象の道具、世界各国の農耕民の使用している道具の調査ができた点は貴重である。よって基準データを作成することができ、考古資料との比較が可能となった。さらに、残存デンプン分析に必要な基準資料について、300種以上の現生標本から種子デンプンの基準資料を得ることができた。これらの種子をもとに現生デンプン標本を作成するとともに網羅的なデンプン間の特徴を見出すことが可能となった。
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Research Products
(5 results)