2010 Fiscal Year Annual Research Report
古代日韓における土木技術の系譜にかんする考古学的研究
Project/Area Number |
21720294
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
青木 敬 独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (10463449)
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Keywords | 都城・寺院・官衙 / 日本 / 百済・新羅 / 掘込地業 / 基壇 / 版築 / 古墳築造技術 / 墳丘正円化 |
Research Abstract |
6・7世紀における日韓土木技術の系譜とその展開を明らかにするため、日韓双方の遺跡発掘調査報告書などの事例を収集する作業を平成21年度以来継続している。平成22年度は、日韓双方の都城・寺院などの基壇や掘込地業に用いられた版築技術について事例収集および検討を加えた。そして、版築における土質の特徴からみて日本列島における版築技術は、百済からもたらされたものが列島内で発展したと推定し、その技術的系譜について一定の研究成果をおさめることができた。この点については、成果の一部を『官衙と門』にて成文化し、残りの部分については平成23年度中に論文化する予定である。官衙遺跡における掘立柱建物についても事例収集をおこない、柱掘方の形状分類から作業従事者の員数を算出できるとの見通しを得た。その成果は、2011年6月刊行の『奈良文化財研究所紀要2011』にて紙上発表する予定である。 さらに、7世紀を中心として新羅と日本の古墳の比較検討をおこない、7世紀前後にはじまる新羅古墳の墳丘正円形化の過程が、石造レリーフ等による墳丘外表の装飾化と呼応することを指摘した。前期古墳以来シンメトリックな墳丘形態を呈することが多い日本の古墳との質的差異を浮き彫りにすることができた。この研究成果については、横穴式石室関係論文集(土生田純之編、未刊)に入稿中である。日本の古墳についても墳丘築造技術を体系的に整理し、その技術史的画期が4世紀後半と6世紀代にみとめられ、これは畿内における技術者が各地へ派遣後に帰還するか、在地化するかという動向差を反映した可能性が高いと理解し、技術史的意義を見出した。この成果は第16回東北・関東前方後円墳研究会で口頭発表し、『古墳時代研究の現状と課題』(同成社、未刊)に入稿中である。
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Research Products
(5 results)