2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際建設業者の経営戦略と産業組織のダイナミクスに関する地理学的研究
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21720299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶田 真 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (40336251)
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Keywords | 国際建設業 / 経済地理学 / 建設経済学 / 競争戦略 / 文化的距離 |
Research Abstract |
4年間の計画期間の3年目である平成23年度は,前2年間を通じて作成したENR誌の調査による業者別海外受注額等のデータベースを更新すると共に,この資料に関するENR誌での解説記事の読み込みと整理の作業を進めた,また,国際建設業を扱った様々な文献資料の検討を行い,その内容についてENR誌調査のデータベースや解説記事との相互検討を行い,知見の精緻化を図った.これらの分析を通じて,1970年代末期以降において,国際建設業者がどのように展開し,その背景としてどのような要因が作用していたのかを明らかにするとと共にこれらの資料の精度や利用可能性についても考察した.この成果については,日本地理学会秋季大会においてポスター発表を行った. また,前2年度に渡って行ってきた英語圏における建設経済学に関する諸論文・テキストの整理・検討作業の成果を取りまとめ,地理科学学会春季大会において口述発表すると共に学術雑誌に投稿・受理され,現在印刷中である.日本での研究蓄積が非常に弱い分野であるため,この論文の公刊後に前記した資料分析の成果を学術論文に取りまとめることを予定している.また,これらの成果を組み入れながら,地方行財政に関するテキストの中で,地域経済と公共事業との関係に関する章を執筆した. 以上の成果は,前記したような状況にある日本の建設業の産業研究に対して,一定の理論的・経験的貢献をなすものであると思われる.また,戦後の日本の経済発展過程と建設業の動態との関係性を位置づけ,日本の経験を相対化していくための作業においても着実な前進を遂げることができたと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料分析の成果は昨年度中に公刊する予定であったが,作業の遅れから本年度にずれこみ,当初予定していた海外事例調査の予備調査を実施することができなかった,次年度は,時間的制約も踏まえ,事例を絞り込むことも念頭におきつつ,集中的な現地調査の実施を予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の通りに,3年間にわたって実施してきた既存研究の成果に関するサーベイと,利用可能な統計・資料の体系的・網羅的な収集・分析作業を踏まえた論点および調査手法に基づいて,次年度は適切かつ効果的な事例研究を実施していきたいと考えている.
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