Research Abstract |
本年度は,主に岩手県久慈市および沖縄における調査を実施した。 久慈市では,市内で開催された全国闘牛サミットおよび全国闘牛大会にて,来場者へのアンケート調査,牛主への聞き取り,資料収集を行った。アンケート調査では,闘牛サミットをきっかけに初めて闘牛を見に来た地元客が多くいること,初めて闘牛を見た人にも闘牛が好評であることが分かった。他の闘牛開催地から来た牛主に対する聞き取りでは,引き分けを前提とする中越地方や久慈市の闘牛に対する戸惑いと,地元の闘牛とは異なる習俗を持つ開催地の闘牛を楽しむ声を聞くことができた。 沖縄では,闘牛がさかんなうるま市や読谷村,北谷村,今帰仁村などで,牛舎を訪れ,牛主に対する聞き取りを行った。聞き取りでは,沖縄と最も距離の近い闘牛開催地である徳之島との違いや,徳之島の牛主との交流の状況について重点的に調査した。その結果,徳之島と沖縄では,1頭の牛のトレードが繰り返され,2つの地域を移動し,さまざまな牛主に育てられる中で牛が強くなっていくことが分かった。二つの地域の闘牛の違いについては,持ち牛が2回続けて負けると「応援してくれる人に申し訳ない」として,牛を手放す慣習がある徳之島に対し,沖縄では,持ち牛の勝率が5割程度であれば,手放さずに長く持ち続ける傾向がある。 久慈市・沖縄の両地域は,開催地としては離れているが,牛の売買や情報交換に関しては,交流が活発になっている。
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