2011 Fiscal Year Annual Research Report
カナダ,モントリオールにおける英語系住民の言語使用とアイデンティティ
Project/Area Number |
21720302
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大石 太郎 関西学院大学, 国際学部, 准教授 (70433092)
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Keywords | 公用語マイノリティ / 言語使用 / アイデンティティ / 地誌学 / モントリオール / カナダ / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究課題は、研究代表者がこれまで取り組んできたケベック州外のフランス語系住民に関する研究成果との比較を念頭におきつつ、既存の統計資料に加え、景観観察や聞き取り調査などに基づいて、ケベック州モントリオールにおける英語系住民の言語使用とアイデンティティを明らかにすることを目的としている。 本年度も、公用語マイノリティの言語使用とアイデンティティに大きくかかわる要素として教育に注目し、大学図書館や州立図書館・公文書館における資料調査に加え、関係機関において聞き取り調査を実施した。そして、これまでの調査結果を日本地理学会において報告した。また、ケベック州外におけるフランス語系コミュニティとの比較も重視していることから、ノヴァスコシア州ハリファクスにおいてこれまでの研究を補充する調査を実施し、その成果をアメリカ地理学者協会(Association of American Geographers)において報告した。 ケベック州の英語系住民は、国家においてはマジョリティでありながら、地域においてはマイノリティという立場にある。最近では、学校教育において一部の教科でフランス語を教授言語として用いているなど、ケベック州がフランス語圏であることを尊重していくことへのコンセンサスはあるようにみえる。もちろん、英語を維持しつつ流暢にフランス語を操る英語系住民も多い。一方で、英語を母語ないし第一公用語とし、マイノリティとして学校やメディアを共有しながらも、必ずしも英語系住民としてなんらかのアイデンティティを形成しているとまでは、現状ではいえない。ケベック州に居住する英語系住民はエスニシティや宗教という点で非常に多様であり、比較的均質な集団といえるケベック州外のフランス語系住民と大きく異なっていることが明らかになった。
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