2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域史を活用したオルタナティヴな「多文化共生」像の構築に向けた試行研究
Project/Area Number |
21720304
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
福本 拓 Osaka City University, 都市研究プラザ, 研究員 (50456810)
|
Keywords | 多文化共生 / 在日朝鮮人 / 集住地区 / 地域史 / アクションリサーチ |
Research Abstract |
在日朝鮮人集住地区における日本人・在日住民双方の関係性の蓄積(=地域史)を広く住民に知つてもらう活動に取り組んだ。 具体的な成果として,第一に,生野区地域福祉アクションプランを拠点に,生野区役所・社会福祉協議会・町会関係者・福祉NPO関係者と協働で,在日住民の現状を広く知ってもらう住民座談会を開催してきた。その際社会地図をポスターに印刷したものを掲示し,「地域」に対する「気付き」を喚起する取り組みを行った。その際社会地図をポスターに印刷したものを掲示し,「地域」に対する「気付き」を喚起する取り組みを行った。地域住民からは,驚きをもって評価されるケースも多々あり,本研究の第一段階としては一定の成果を得た。 第二に,生野区地域福祉アクションプランでは,広く一般住民に在日住民の福祉課題を伝えるパンフレットの作成・配布も行った(1万部)。その際,地域史を社会地図と重ね合わせた地図(「生野区多文化マップ」)を作成・掲載した。 第三に,地域住民からの資料提供については,当初予定通りに進捗することはできなかった。しかし,生野区・東大阪市にて市民活動を展開してきた団体より,過去の資料の提供を受けた。その中で特に資料的価値が高いのは,同地域での「密航者」に関する支援活動の資料である。これまでの研究で看過されてきた生野区における在日住民の特徴として,戦後の「密航者」の占める割合が予想以上に高いことがある。彼らをめぐる排除の実相や支援の実態を「見える化」することは,地域で潜在的に育まれてきた「多文化共生」のための土壌を住民に認識してもらえる点で,非常に意義の大きいものと考える。平成21年度は,「見える化」のための第一歩として,提供された資料(簿冊1,000冊あまり)のデータベース化を進めた。
|