2009 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクル事業による地域の社会的側面への影響評価分析
Project/Area Number |
21720307
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
栗島 英明 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 准教授 (80392611)
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Keywords | 廃棄物再資源化 / 社会影響評価 / エコタウン / バイオマスタウン / 地域分析 / 地方自治体 / 人文地理学 |
Research Abstract |
リサイクル事業に伴う地域への社会的影響を評価するフレームの構築に向け、社会影響評価に関する文献レビューを実施し、持続可能性の要件(end-point)と着目する社会的側面(mid-point)の抽出を行った。その結果、end-pointを「住民がその地域に生活しつづけられること」と定め、生活に必要な雇用、健康、安全、コミュニティの便益/費用、コミュニティのつながり、個人・世帯の便益/費用、施設とサービス、福祉、ステークホルダーの参加度、および間接的なものとして人口と自治体財政、環境意識を暫定指標(mid-point)に選定した。また、先に示した指標にしたがって、富山県富山市(エコタウン事業)、福岡県大牟田市(エコタウン事業)、福岡県大木町(バイオマスタウン事業)の自治体、企業にヒアリング調査を実施し、一部のデータを得た。 また、富山市において住民アンケート調査を実施し、生ごみ分別リサイクル事業及びエコタウン事業についての住民意識を把握するとともに、コンジョイント分析を用いて生ごみ分別リサイクルの便益/費用を測定した。その際、生ごみ分別地区とそれ以外とに分けて分析を行った。その結果、生ごみ分別については、分別実施に関わらず高い実践意図を得た。その主な理由は、「決められたルールなので」という消極的な理由が最も多かったが、次いで「リサイクルへの貢献」「排出者責任」という積極的な理由を挙がった。一方、実践に伴う影響について、実施地区以外では手間も多く、プライバシーが気になるという回答が多かったが、実施地区ではその割合は減少した。また、実施地区以外では排出ごみの削減が期待されていたが、実施地区ではそれほどでもないとの回答が多かった。また、エコタウン事業については、期待事項として富山市の廃棄物削減や地域経済の活性化があげられる一方で、懸念事項として周辺環境の悪化や事業の採算性、市外からの廃棄物の流入が挙げられた。今後はさらに調査結果の分析を進める。
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