2010 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクル事業による地域の社会的側面への影響評価分析
Project/Area Number |
21720307
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
栗島 英明 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (80392611)
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Keywords | 廃棄物再資源化 / 社会影響評価 / エコタウン / バイオマスタウン / 地域分析 / 地方自治体 / 人文地理学 |
Research Abstract |
リサイクル事業に伴う地域への社会的影響を評価するフレームの構築に向け、事例地区における定性的な調査を実施した。具体的には、富山県富山市(エコタウン事業)、大阪府堺市(エコタウン事業)、福岡県大木町(バイオマスタウン事業)、北海道札幌市(事業系生ごみリサイクル)の自治体、企業にヒアリング調査を実施し、データを得た。 福岡県大木町は、町内の生ごみをバイオガス化して処理しており、消化液は液肥として農地に還元されている。そうした農地で生産された米は、町内の小中学校の給食に利用されているほか、特別栽培米として販売もしている。また、町の中心にあるバイオガス化施設周辺には、地元産の農産物を扱うレストランを併設した道の駅をつくり、その周辺は農地が広がっている。これにより、処理施設周辺は、食の生産-消費-処理-循環を一度に経験できる空間となっている。道の駅のレストランはテレビ等でも取り上げられ、周辺地域から人々が訪れており、リサイクルを中心とした地域活性化につながっている。 北海道札幌市では、事業系や学校給食の生ごみを飼料化・堆肥化処理している。地方中枢都市で大きな歓楽街"すすきのう"を抱える札幌市は事業系の生ごみ排出量が多かったが、現在ではそのほとんどがリサイクルされている。生産した堆肥で生産した農産物を給食用の食材として利用することで、食育・環境教育が行われている。 このように、リサイクル事業は地域の活性化や地域における環境意識の形成に影響を与えると考えられる。今後はこうした意識の部分を定量化し、そうした意識がどのような影響(ごみの減少など)につながるのかを分析する必要がある。
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