2009 Fiscal Year Annual Research Report
地籍原図を活用した朝鮮近世交通集落の景観復原―「駅村」を事例に―
Project/Area Number |
21720313
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
轟 博志 Ritsumeikan Asia Pacific University, アジア太平洋学部, 准教授 (80435172)
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Keywords | 駅村 / 古道 / 朝鮮王朝 / 景観復原 / 地籍原図 |
Research Abstract |
本年度においてはまず駅村に関する学説整理をすすめるため、韓国内に散在する駅制に関連した歴史学および地理学の先行研究を収集し、またその分析を行った。また駅位置の比定の精度を増すために、駅について言及されている地理誌の収集を行った。特に今まで先行研究が存在しない「道里表」は、なるべく全種類の収集を目指し、国内外の収蔵場所に出向いて収集を行った。日本においては東京の静嘉堂文庫、大阪府立中之島図書館、東京大学にて収蔵が確認されたのは収穫であった。韓国においてはソウル大学校、国立中央図書館、韓国学中央研究院にて収集を終えたが、高麗大学校収蔵本については22年度に追加で収集する予定である。 これらの史料には必ず表記される駅、資料によって表記されたりされなかったりする駅、全く出てこない駅があるが、それによって交通路の中で重要視されていた駅を抽出することができた。 また韓国に残されている駅誌や邑誌を参照し、事例調査に適切な駅の抽出を試みた。その結果、幽谷駅、省ヒョン駅、松羅駅、青巖駅の各駅が、駅関連資料が豊富に残っていること、先行研究が存在すること、地図により位置の比定が可能であることなどから、候補地として選定した。特に青巖駅は官衙の個別の建物の形態と位置が描かれており、地籍図と照合することにより復原が容易になると考えられるが、ダム湖の建設により原景観が水没しているという欠点がある。22年度上半期に全候補地を訪問し、調査対象地を一か所に絞る予定である。
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