2010 Fiscal Year Annual Research Report
ネパール・ヒマラヤにおける高地住民の生業戦略と災害リスク認識・災害対応
Project/Area Number |
21720314
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
池田 菜穂 独立行政法人防災科学技術研究所, 防災システム研究センター地震防災フロンティア研究センター, 特別研究員 (10450264)
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Keywords | 国際情報交換 / ネパール / 高地住民 / 災害 / リスク認識 / 生業 / 地域環境 |
Research Abstract |
本年度は、ネパール・ヒマラヤ高地における社会環境・生業活動の現状と近年の変容に関する文献調査・資料収集、および、ネパールとインドにおける自然災害と防災政策に関する文献調査・資料収集を実施した。このうち、社会環境・生業活動の現状と近年の変容については、地域社会の民族グループ構成、人口、土地利用、家畜所有、主要都市から地域までの交通手段などについてデータを収集し、ネパールに暮らす高地住民の社会環境と生業活動を俯瞰するとともに、個別地域間での状況の差異とその原因について分析する試みを行った。資料の分析は継続中である。いっぽう、本年度に予定していた現地調査については、本計画上の比較対象地域であるインドのラダーク地方において、年度途中の2010年8月上旬に豪雨に起因する土砂災害が発生したことにより、当初の予定に変更が生じた。ラダーク地方における土砂災害の被害は現地としては甚大なものであり、人的被害や家屋被害だけにとどまらず、農業を中心に現地の生業活動にも大きな損害を与えた。本年度当初の予定のなかには、高地住民の生活と生業に関わる災害リスク全般を対象として、住民の認識と対応を、ネパールのモデル地域とインドの比較対象地域で調査することが含まれていたが、ラダーク地方で前述した土砂災害が発生したため、現地調査としてはネパール国内よりも、ラダーク地方における水害への対応に焦点をあてた調査を優先的に実施することとした。ラダーク地方での現地調査は他の資金で実施した。具体的には、災害現象および住民による避難行動や災害対応を明らかにするために、災害発生の約2週間~1ヶ月後および約半年後に現地を訪問し、観察と聞き取り調査をおこなった。調査結果は分析中である。
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