2012 Fiscal Year Annual Research Report
モロッコにおける「先住民」運動の成立と展開をめぐる歴史人類学的研究
Project/Area Number |
21720320
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齋藤 剛 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (90508912)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 人類学 / 先住民 / アマズィグ / ベルベル / モロッコ / イスラーム |
Research Abstract |
本研究は、北アフリカにおける「先住民」運動の一つと捉えられるアマズィグ運動について、その成立と展開の諸相を歴史人類学的観点から明らかにしようとするものである。 平成24年度の研究計画においては、第一に、現地調査の実施に基づくアマズィグ運動の現状把握を掲げた。この計画に従い、2010年末以来中東各地で生じている、いわゆる「アラブの春」の動きとの関連にとくに留意しつつ、運動の現状の解明を目的とした現地調査と研究を進め、その成果の一端をブリュッセル自由大学で開催された国際ワークショップにおいて発表するとともに、国際ワークショップでの討議を踏まえた論考として刊行した。 第二に、本研究は歴史人類学的観点から研究を進めるものであるが、本年度は、アマズィグ運動と、運動に批判的な立場を取るイスラーム主義者双方が重要視する20世紀を代表する宗教知識人ムフタール・スースィーの宗教観に焦点を定めた研究を、フランス国立科学研究センター(CNRS)と京都大学イスラーム地域研究(KIAS)主催の国際ワークショップにおいて発表をし、さらにそこでの討議を反映した論考を著した。アマズィグ運動においては、アラブ・イスラームの影響を排したアマズィグ性がしばしば希求される帰結として、アマズィグ人とアラブ人は異なる民族として本質化されてしまう。これに対して本年度の研究においては、運動を支えるそのような認識の問題点を乗り越える手がかりを、現地人自身が重視する知識人の活動に求め、その理論的意義を明らかにした。 以上のように国際ワークショップにおける英語での発表と、それを基にした論考の出版を通じて、本年度は研究成果を国際的に発信することができた。これに加えて、日本感情心理学会において研究成果を発表するなど、学問分野を横断する形でも研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)