2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代北インドにおける「不可触民」の仏教改宗運動と生活実践に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
21720327
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
舟橋 健太 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (90510488)
|
Keywords | 文化人類学 / インド |
Research Abstract |
平成22年度は、平成22年9月に博士の学位を京都大学より授与されたこともあり、研究集会やシンポジウムにおいて、多く研究成果の公表をなす機会を得ることになった。とりわけ、12月のNIHU(人間文化研究機構)プログラム・現代インド地域研究・国内全体集会における研究報告が特筆すべき一つとなろう。「現代インドにおけるダリト運動の展開とメディア」と題して行われた報告では、本科研研究のテーマである元「不可触民」による仏教改宗運動に焦点をあてて、そこにおけるメディアの役割について、同じく本科研研究の具体的な対象のひとつであるエリート仏教徒と「普通の」仏教徒との関係性のありようにも着目しつつ、研究報告を行った。そこでは注目すべき存在としてエリート仏教徒がクローズアップされ、その後のコメントや質疑応答を含め、仏教改宗運動におけるかれらの役割・存在の重要性が議論された。 もう一つ、重要な研究成果の公表として、平成23年1月に開催された、NIHUプログラム・現代インド地域研究・国際シンポジウムにおける研究報告を挙げることができる。ここでは、"Negotiating with 'Caste'"と題して、本科研研究の主テーマと同じく、北インドにおける「改宗仏教徒」たちが、あくまでマイノリティであるという状況のもと、いかに「カーストなるもの」と対しているか、その婚姻の取り結びや各種儀礼実践の様相から検討を行った。報告後のコメントや議論においては、改宗を断絶ではなく継続でみる必要があるとの報告者(舟橋)の主張に、多くの発展的見解が寄せられた。主たるものとしては、継続をいくつかのレベル(語りと実践、時間と空間、世代など)で分けて分析する必要がある、などである。これら見解を踏まえて、報告内容を英文論文として学術誌Contemporary South Asiaに投稿すべく、より発展的に論文を修正・執筆中である。
|
Research Products
(5 results)