2011 Fiscal Year Annual Research Report
開発援助のフィールドワークにおける介入性に関する研究
Project/Area Number |
21720330
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
小國 和子 日本福祉大学, 国際福祉開発学部, 准教授 (20513568)
|
Keywords | 開発人類学 / フィールドワーク / 「場」の特性 / 農村開発 / 支援 / アクター / インドネシア / カンボジア |
Research Abstract |
平成23年度は本研究の最終年度であり、全体計画を見直しつつ、到達点の確認と成果発表を中心に行った。現地調査は、インドネシア南スラウェシで支援活動家として農村開発に関与してきた現地研究者の関与のありようを「調査の介入性を建設的に論ずる」という観点から比較対象として訪問を行った。 本研究では、2つの目的(1、開発ファシリテーションなど介入アプローチに向けて、フィールドワークから実践的な含意を抽出する、2、フィールドワークにおける調査者の社会的役割の可能性を検討する)に基づいて援助実務と人類学研究の双方を束ねる議論の土壌づくりを試みてきたが、この点において、手応えを感じられる年となった。当初は「フィールドワークの介入性を論じること自体の妥当性」や人類学者の自省的な批判が議論の焦点となりがちであった。、これに対し、最終年度に行った発信の場では、実務的な課題解決への助言を含むフィールドワークの可能性、教育の場とのリンクなど、より具体的な相互作用性の観点から積極的な議論を行うことができた。 名古屋で主催する勉強会では、「開発研究/実務における『民族誌的なデータ』とは何か」をタイトルに、学際的な共同研究への積極的な参入を通じて、人類学的な「寄り添い」や「問いかけ」の特徴が相対化され、整理が可能となる可能性について報告した。 また、成果のひとつである『支援のフィールドワーク』(小國・亀井・飯嶋編、2011、世界思想社)では、抽象的な概念や専門用語を排することで、より広い議論機会を創出した。他方で、当初予定していたインドネシアおよびカンボジアでの現地調査のうち、カンボジア事例についてはそれ以前の調査データや文献に依拠することとなり、現地調査はインドネシア南スラウェシに絞って行われた。
|
Research Products
(6 results)