2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本の医療機関における身体診察の効果に関する人類学的研究
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21720332
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
飯田 淳子 Kawasaki University of Medical Welfare, 医療福祉学部, 准教授 (00368739)
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Keywords | 身体診察 / 文化人類学 / 医師・患者関係 / コミュニケーション |
Research Abstract |
当該年度は、身体診察や医療人類学に関する先行研究の渉猟を行うとともに、東京大学医学部附属病院・王子生協病院(東京都)・名古屋大学医学部附属病院・かとう内科並木通り診療所(岡山県)で予備調査を行った。 年度の前半は、主に各施設での研究協力者との打ち合わせ及び倫理審査申請に充てた。また、名古屋大学医学部において授業見学を行い、医学生の教育課程における身体診察の位置づけ及びそれに伴って伝達される価値についての知見を得た。 その上で後半は、各施設で診療の見学を行った。それにより、調査対象である総合診療・家庭医療という領域の特殊性、医師による身体診察方法の多様性、診療過程における身体診察のルーティン性といったことが明らかになった。また、身体診察は問診や雑談をしながら行われることが多いこと、身体診察により患者が自らの身体状態について納得しやすくなることがあること、身体診察は患者の情動的側面に作用することがあることなども看取することができた。 これらの予備調査により、身体診察は医師が医学的情報を得る以外の効果を生み、医師・患者関係に影響を与えるが、効果や影響の内容は状況により多様性があることが明らかになった。この結果をもとに、次年度は本調査を進めていく。 さらに、身体診察の先行研究に関しては、診察・診断技術や教育手法に関する研究は多いものの、身体診察と医師・患者関係に関する研究は不十分であることを確認した。これについて、研究協力者の一人である東京大学の錦織宏氏とともにレビュー論文を準備中であり、次年度は学会発表も行う予定である。
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Research Products
(1 results)