2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本の医療機関における身体診察の効果に関する人類学的研究
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21720332
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
飯田 淳子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (00368739)
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Keywords | 身体診察 / 文化人類学 / 医師・患者関係 / コミュニケーション / 総合診療 / 家庭医療 |
Research Abstract |
前年度の予備調査に基づき、王子生協病院(東京都)で計9日間、名古屋大学医学部附属病院で計12日間、かとう内科並木通り診療所(岡山県)で計13日間本調査を行った(この3か所で十分と判断し、当初調査地に含まれていた東京大学医学部附属病院は調査地から外すこととした)。引き続き総合診療・家庭医療における外来診療・病棟回診・在宅診療の場面の観察を行うとともに、身体診察についての感じ方・考え方について、医師・患者・医学生に半構造化インタビューを行った。インタビューは合計医師31人(研修医4人・後期研修医10人を含む)・患者46人(外来24人・入院18人・在宅4人)・学生6人に対して行われた。 上記の調査により、多くの医師達が、患者が症状を訴える際、身体診察を行うことを期待されていると感じることや、問診で診断がついたために身体診察を省略したところ患者から不満や疑問を訴えられた経験について聞きとることができた。また、身体診察を通じて患者が自らの状態を体感・把握することにより納得・安心をすることに加え、患者の家族も安心感を得ることがある点や、身体の状態を患者と医師が同時に感知することを通じ、問題を医師と共有化することを望む患者がいることも明らかになった。 また、身体診察に関する先行研究について、研究協力者の錦織宏氏(東京大学)とともに検討を行い、その結果を日本医学教育学会で発表した。これをもとにレビュー論文を執筆中である。 さらに、調査結果に関する中間報告を日本文化人類学会中国・四国地区研究懇談会にて行った。これについても各方面から建設的な意見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)