2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の医療機関における身体診察の効果に関する人類学的研究
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21720332
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
飯田 淳子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (00368739)
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Keywords | 身体診察 / 文化人類学 / 医師・患者関係 / コミュニケーション / 総合診療 / 家庭医療 / 身体接触 |
Research Abstract |
前年度の調査を補足するため、王子生協病院(東京都)で1日、名古屋大学医学部附属病院で計3日間、かとう内科並木通り診療所およびその近隣地域(岡山県)で計4日間、調査を行った。引き続き診療場面の観察を行うとともに、身体診察についての感じ方・考え方について、医師・患者・医学生にインタビューを行った。今年度、インタビューは合計医師4人(後期研修医2人を含む)・患者10人(入院6人・在宅4人)・学生5人に対して行われた。 上記も含め、これまで行った調査で得られたデータを整理・分析した。その結果、患者の年齢や性別等による多様性はあるものの、身体診察はその儀礼的効果と知覚的直接性により患者の安心感や納得度に影響を与え、医師・患者関係の形成や維持につながることが示唆された。 これらの結果を、日本文化人類学会、日本医学教育学会、Society for East Asian Anthropology(SEAA)Conferenceにて発表した。研究協力者からも要望された日本医学教育学会での発表では、身体診察について医学とは違った人類学的な視点から知見を提供することができた。また、SEAAの学会では'Medicalized Modernity in Japan and South Korea'(日韓における医療化された近代)というパネルで発表を行い、日本と韓国における医療の状況の共通点や相違点にも議論が発展した。分野の異なる学会や国際学会で発表することにより、多方面から貴重な意見を得ることができた。 現在、本研究の成果をまとめた論文を投稿準備中である。また、前年度に引き続いて研究協力者の錦織宏氏と執筆した身体診察に関する英文レビュー論文を学会誌に投稿中である。
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Research Products
(3 results)