2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730006
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
足立 英彦 Kanazawa University, 法学系, 准教授 (30397202)
|
Keywords | 基礎法学 / 数学基礎論 / 法概念 |
Research Abstract |
本年度はこの研究の初年度であるので、まず、述語論理学、様相論理学、義務論理学など、本研究に欠かせない現代論理学の基礎的知識を習得し、同時にこれらの分野の研究動向を把握することに重点を置いた。そのために、主に英・独語の文献収集を行うとともに、法哲学社会哲学国際連合第24回大会(北京で開催)に参加するなどして、情報収集に努めた。 その結果、いくつかの論点が明らかとなった。まず、法という集合の基本要素である法規範に関して、法規範自体とその妥当性(有効性)とを区別するような法概念を採用する場合、法規範は必然的に妥当性主張を掲げているという語用論的な法概念が可能となること、さらに、妥当性の条件として正当性を含めるか否かで、自然法論的な法概念と実証主義的な法概念の区別が可能となること、といった整理に至り、それらのことを「語用論的な法概念について」というタイトルの論文で公表した(11.研究発表「図書」欄の図書に所収)。また、法規範を義務様相を用いて説明する場合、行為規範については問題ないものの、授権規範をどう説明するかが明らかでないという点にも思い至ったので、来年度に研究を進めることとした。 来年度は、上記で述べたように、授権規範(または権限)と義務論理の関係を検討することから研究を始める。具体的には、授権規範を行為規範に還元することによって、法概念を義務論理で統一的に説明することが可能か否かを、アルフ・ロス(Alf Ross)やハンス・ケルゼン(Hans Kelsen)などの、授権規範に関する過去の優れた研究成果を参照しつつ考察する。また引き続き、様々な法概念の論理的分析を進める予定である。
|
Research Products
(1 results)