2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
足立 英彦 金沢大学, 法学系, 教授 (30397202)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 基礎法学 / 法概念 |
Research Abstract |
本研究の最終年度である本年度は,昨年度と同様,様相論理学や義務論理学など,現代論理学の概要把握に努めた。また,高階述語論理の表現力を用いて,特定の者に規範を定める能力を与える規範(授権規範,権限規範)を定式化することを試みたが,これについては昨年までの成果以上のものには到達しなかった。他方,本研究の本来の目的である法概念の論理的分析に関して,法を「権利」の側面から捉え直すことによって,権利と道徳的義務履行の関係を論理式を用いて明らかにする,という着想を得た。その結果,ある人(甲とする)が自らに対してある行為を道徳的義務として課すならば,その行為を妨害しない他者(乙とする)の義務が論理的に導き出せること,ただしこの義務は道徳的なものではないこと(義務を課される者が自ら定めたわけではないので),そのような乙の義務についての甲の主張を「権利主張」とみなすならば,甲の権利主張が真であることは,甲の定める道徳規範が真であることの必要条件であり(不可能なことは義務づけられないので),さらに,道徳的規範が真でなければ,道徳的な行為も反道徳的な行為もできないことから(道徳的か否かを判断する基準がないので),甲の権利主張が真であることは,したがってそのような権利を定める法規範が真であることは,甲が道徳的に行為すること,または反道徳的に行為することを可能にする必要条件であること,このことは,「法は道徳・反道徳の可能性である」,というグスタフ・ラートブルフの主張と合致することを明らかにすることができた。以上の研究結果を,2012年11月2日に中国の長沙で開催された「第5回ラートブルフ法思想シンポジウム」で報告するとともに,ドイツ語で論文を執筆した。この論文は,マーティン・ボロウスキらが編集するラートブルフの法概念に関する単行本に収録される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)