2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 恵一 九州大学, 研究戦略企画室, 助教 (90380659)
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Keywords | 基礎法学 / 日本法制史 / 喧嘩両成敗 / 紛争処理 / 法意識 |
Research Abstract |
本研究は、所謂「喧嘩両成敗」の考え方が、主に近代以降のさまざまな言説の中でどのように論じられてきたかを、その背景にある学術的・社会的潮流、とりわけ法意識の変遷と関連づけて総合的に解明することを目的とする。 本研究では、第一に、喧嘩両成敗に関する学術的な成果の背景となった学界における議論及び社会情勢を明らかにするため、関連する論考を博捜するとともに、必要に応じて関連する判例についても収集及び検討を行う。第二に、両成敗に関する一般的な言説がどのような脈絡で生まれたものかを明らかにするため、新聞・雑誌類も含めた各種資料から関連する言説を収集する。収集した資料は電子データベースとして整理するとともに、これを活用して考察を行う。 平成22年度は、前年度に引き続いて必要な資料の収集・整理を行うとともに、データベースの拡充を中心に作業を行った。対象としては法学分野全般に加え、日常的に「喧嘩両成敗」的状況が発生していると思われる学校現場の紛争に着目してこれに関する文献の収集を行い、事例を集積した。また、法学のみにとどまらず、教育学分野も含めた幅広い分野の文献を検討し、本テーマに関する知識を深めた。さらに、集積したデータを踏まえて分析を加え、「喧嘩両成敗」観念がどのような文脈で用いられているかについて考察を行った。その結果、「喧嘩両成敗」観念が各時代においてどのように論じられてきたのかについてその変遷と歴史的意義に関する新たな知見を得ることにつながった。その成果についてはとりまとめ、近日中に公表したいと考えている。
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