2009 Fiscal Year Annual Research Report
英米の民事訴訟における裁判官による訴訟管理:エクイティー上の手続き法理の研究
Project/Area Number |
21730010
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
溜箭 将之 Rikkyo University, 法学部, 准教授 (70323623)
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Keywords | アメリカ / イギリス / 法 / 裁判 / 手続法 / エクイティー / 比較法 / 訴訟管理 |
Research Abstract |
平成21年度は、イギリスにて海外研究を行った。ケンブリッジ大学クレア・カレッジにおいて、法学ディプロマ(1年間のリサーチ・コース)課程に入り、ニール・アンドリュース教授の指導の下、民事訴訟法を中心とした研究を行っている。 研究テーマは、Patterns of Anglo-American Civil Procedure Reform(英米における民事訴訟法改革のありかた)としている。アメリカとイギリスにおける、ケース・マネジメント(事件管理)、クラス・アクション、ディスカバリー(証拠開示)、サマリー・ジャッジメントをとりあげ、20世紀後半の法改革の流れを追っている。いずれもエクイティー上の手続法理が問題となる分野であり、裁判官による訴訟管理の強化という流れの中で重要な位置を占める諸手続である。 平成21年12月には、アメリカのニューヨーク大学にて現地調査をおこない、アメリカにおける民事訴訟法の動向も調査した。サマリー・ジャッジメントより早い段階の手続判断について、新たな最高裁判例に対する法学者・立法府における議論が高まっているなど、興味深い調査結果が得られた。 法学ディプロマ課程における研究は、平成22年5月が提出期限であり、公表出版するまでには時間がかかると予想される。しかしこの間、昨年までの科学研究費による研究の成果を、イギリスの査読つきの民事訴訟研究雑誌に公表できる見通しとなった。Anglo-American Perspective on Freezing Injunctions(資産凍結差止命令の英米比較)と題されたこの論文は、1970年代以降のイギリスにおける資産凍結差止命令の発生から現在までの展開を追うとともに、アメリカ連邦最高裁が1990年代に同様の差止命令を認めないという判断を下した経緯と対照させている。
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Research Products
(2 results)