2011 Fiscal Year Annual Research Report
英米の民事訴訟における裁判官による訴訟管理:エクイティー上の手続法理の研究
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21730010
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
溜箭 将之 立教大学, 法学部, 准教授 (70323623)
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Keywords | アメリカ / イギリス / 訴訟管理 / 手続法 / エクイティー / 比較法 / 裁量 / 法 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成22年7月までの在イギリス海外研究の成果を公表する努力を平成22年度に引き続いて行った。中核となる資産凍結差止命令の研究は、平成23年度の英文の雑誌論文公表に続き、和文の雑誌論文に公表することができた。また、多数当事者訴訟の英米比較についても、自ら編者に加わったEuropean Business Law Reviewの特集号の中で、英文での公表が実現した。 本科研費研究と並行して、在イギリス研究中に本研究に支援と助力を与えてきた、ケンブリッジ大学のアンドリュース教授による、イギリス民事訴訟法の入門書の翻訳作業を進めてきた。平成24年6月に法律文化社から『イギリスの民事訴訟手続』と題して出版する見通しである。翻訳作業を通じて広い視点からイギリスの民事訴訟を見渡せたのは本研究にとっても有益だった。こうした広い視野での作業に、これまでの公表論文における個別論点での英米比較を組み合わせ、英米比較を軸とした概説的な民事訴訟論を書籍として公表するための活動を行っている。本年度初頭に原稿を執筆し始め、後半から精力的に行った。 イギリス・アメリカそれぞれの国内の民事訴訟の研究に加え、これに関連する分野における研究も進め、順調に成果を公表している。とりわけ国際仲裁についての研究は、代替的紛争解決と裁判との関係、とりわけ国際的な事案における裁判所の機動的な対処に焦点を当てた。また、エクイティーとの関係では、実体法の問題ではあるが、信託法の研究も進めている。この分野では、英米において特に国際的な場面での紛争処理が重要な問題と意識されており、おのずから手続問題に焦点が当たる。いずれの分野でも、英米の裁判所はそれぞれ機敏な対応を示しており、その際に裁判所の裁量的権限が重要な役割を果たす。同時に、具体的な裁量権の行使に英米それぞれの特徴も現れてきており、こうした研究が中核となる民事手続法の研究に有益なフィードバックをもたらしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成20年から22年にかけてイギリス滞在中で行った研究成果の公表が、雑誌論文については英文・和文ともにほぼ完了した。また、国際仲裁や信託実体法など、関連する分野における研究も進め、順調に成果の公表もできている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、概説的な英米比較民事訴訟論を書籍としての公表するための調査研究・執筆活動を継続する方針である。また、イギリスで本研究への支援を与えてきたケンブリッジ大学のアンドリュース教授を、短期間ではあるが招聘するための手続を進めており、この機会も有効に活用したい。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は特にない。
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Research Products
(6 results)