2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の東アジアに於ける領事裁判に関する実証的研究
Project/Area Number |
21730011
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中網 栄美子 早稲田大学, 法学学術院, 研究員 (10409724)
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Keywords | 法制史 / 近代 / 日本 / 東アジア / 領事裁判 / 条約改正 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本が明治維新以降、西欧の法や法制度を継受しつつ近代化を推進する過程で、東アジア諸国において獲得した治外法権という特権をどのように行使し、その結果がどのような法的影響を現在に向かって及ぼしたのかを実証的に明らかにすることにある。 平成22年度は、平成21年度に引き続き日本国内に所蔵される領事裁判史料について調査分析を進めるとともに、海外は韓国(5月・9月・3月)と中国(8月)に所蔵される領事裁判史料について調査を行った。韓国では延世大学・沈義基教授(韓国法制史)の助言を得て、国家記録院に所蔵されている韓末刑事判決の調査を行った。平成21年度調査では大法院記録保存所所蔵の韓末民事判決の中に、日本による領事裁判の民事判決原本が一部含まれていることが明らかになったが、今回の調査では国家記録院所蔵の韓末刑事判決の中に日本による領事裁判の刑事判決原本が一部含まれていることが明らかになった。9月調査では更に、国家記録院所蔵中の領事裁判判決原本が京城地方法院検事局(当時)所蔵の明治20年~明治38年判決原本であることが明らかになり、この複写を入手して分析を進めた(注:個人情報保護のため複写からは個人名など一部情報が消去されている)。3月調査では、大法院図書館及びソウル大学中央図書館所蔵の韓末開化期(1876年~1910年)の歴史や法制度に関する図書資料の調査を行った(韓国における領事裁判に関する先行研究は少ないため、同時代の近代史一般や近代法史を扱った文献から調査を行った)。これにより開化期における西欧から招へいした「御雇外国人」や植民地化以前の日本人法曹の活動などが一部明らかになった。中国では平成21年度調査で上海市梢案館所蔵の上海会審衙門関係資料について調査を行ったが、閲覧請求に時間を要する史料が多かったため、8月調査では前回閲覧できなかった史料につき調査を行った。
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Research Products
(3 results)