2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の東アジアに於ける領事裁判に関する実証的研究
Project/Area Number |
21730011
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中網 栄美子 早稲田大学, 法学学術院, 研究員 (10409724)
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Keywords | 法制史 / 近代 / 日本 / 東アジア / 領事裁判 / 条約改正 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本が明治維新以降、西欧の法や法制度を継受しつつ近代化を推進する過程で、東アジア諸国において獲得した治外法権という特権をどのように行使し、その結果がどのような法的影響を現在に向かって及ぼしたのかを実証的に明らかにすることにある。 平成23度は、前2年間に行った日本国内に所蔵される領事裁判史料についての調査を確認するとともに、海外は中国(12月)と韓国(平成24年2月及び3月月)に所蔵される領事裁判史料について遽跡調査を行った。 国内では6月に行われた法制史学会第63回総会の場にて日本の韓国における領事裁判につき、前2年間の海外調査を踏まえて研究報告を行った。 中国については北京の第一歴史档案館にて史料調査を行ったが、日本が中国において行った領事裁判につき、判決原本や直接の関連資料を発見することはできなかった。併せて、北京大学図書館において関連資料・図書の調査を行った。 韓国では2月にソウル大学にて行われた韓国法史学会によるシンポジウムに出席し、韓国、中国、台湾、日本の4カ国により研究者と意見交換を行った。併せて、ソウル郊外(ブンダン市)にある大法院記録保存所にて民事判決原本に関する追跡調査を行った。前2年間の調査により、同保存所には京城・仁川における日本領事裁判所民事判決原本が一部残されていることが明らかになっていたため、上記2都市以外のものにつき調査した。とくに、当時日本人が多く居住していた釜山につき残された史料がないか重点調査したところ、領事館から移行した理事庁の民事判決原本が一部残されていることが判明した。理事庁については、日韓併合の前のごく数年のみ存在した組織であり、その裁判制度につき不明な点も少なくないが、同判決原本の存在により、実際にどのような事例があったかを確認することができた。
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