2011 Fiscal Year Annual Research Report
まちなみ保存地区における空き屋活用の実践的法社会学研究
Project/Area Number |
21730012
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高村 学人 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (80302785)
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Keywords | 空き家 / 契約法 / コミュニティ / 住宅 / 不動産 / 法社会学 |
Research Abstract |
伝統的建造物群保存地区における空き家問題については、奈良県今井町、福井県若狭町熊川宿での調査を推進することができた。今井町のNPOは確実に実績をあげており、熊川宿でも空き家バンクに向けた取組みが本格化した。このように制度が立ち上がっていく現場に参与観察ができたのは、生ける法の理解においても重要であった。 上記の伝建地区で研究を進める中で、地域密着型の民間不動産会社の役割の可能性、とりわけ中古住宅流通時における住宅の質に関する情報の分析・提供において民間不動産会社が専門家としての役割を十分に果たすことが当事者間の取引コストをさげる上で重要であることが判明した。 よって、年度後半からは、中古住宅流通時においてより住宅管理の質が重要となる中古マンションを対象に調査を実施した。幸い、不動産学会においても発表の機会が与えられ、有益な学術交流が実施できた。調査結果も報告書にまとめることができた。 これらの成果をもとに平成22年度からの科研費に申請し、基盤Cで採択をうけた。平成21年度の成果を基礎としながら、空き家化を未然に防ぐために中古住宅の流通促進を支えるための制度のあり方、重要事項説明のあり方、判例の役割を今後は研究していくことになる。このような課題の着想を得ることができたのは、この研究課題の実施において最も大きな成果であったと言える。 また空き家問題は、これまで研究代表者が実施してきたコモンズ論に関する研究とも接合できることがわかった。空き家を地元合意の中で解体し、地域のポケットパークにしている事業が長崎市、福井県越前町で展開している。空き家の再生・流通だけではなく、解体→地域資源化の流れについても今後、研究を進めていく。これらの論点を発見できたのも今回の研究課題の成果である。
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Research Products
(3 results)