2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730014
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
吉井 千周 (宮原 千周) 都城工業高等専門学校, 一般科目文科, 講師 (90413880)
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Keywords | 法化 / 少数民族 / タイ / 法社会学 / モン族 |
Research Abstract |
本研究は少数民族の意志反映が十分に可能である法制度の構築・運営について実証研究を元にして考察するものである。事例としてタイ山間部に居住する山地民のモン族をとりあげ、タイの司法制度に依拠しない伝統的な紛争処理制度が近代司法制度と共存している実態をフィールドワーク調査で明らかにし、加えてタイの司法制度がモン族に利用されていない実態を「法化」概念を用いて分析をこの年度に行った。 本年度は、国内の各大学の資料と研究者とのディスカッションを経て「法化」理論研究を進めた。特に、今年度は、国立民俗学博物館において共同研究「リスクと不確実性、および未来についての人類学的研究」の研究グループ一員として共同研究を進め、積極的に民俗学の分野での研究成果を吸収し研究を進めた。特に関連領域の日本国内の住民運動における法化研究にも着手することができ、当初から予定していた東南アジアのマイノリティの社会内部に生じている法化現象が、日本の開発地域においても同様に生じうる現象であるということについて、確証を得ることができた。リスクという「予測しうる/予測し得ない」未来に対して、どのように法制度を利用し、またはどのような環境が利用を阻む要因となっているのか、法化現象と関連づけて説明することに貢献できたと考える。
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