2011 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカの「表現の自由」論の普遍性を、フェミニズムとフランスを参照して探る
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21730018
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
田代 亜紀 専修大学, 法務研究科, 准教授 (20447270)
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Keywords | アメリカ / 表現の自由 / 第一修正 / 内容規制 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アメリカ憲法学の「表現の自由」論における普遍性を、フェミニズムの議論とフランスの議論を参照して検討することにあるが、当該年度は、スタートラインであるアメリカの「表現の自由」論について検討することに多くの時間を割いた。それは、アメリカ連邦最高裁の判決(FCC v. FOX Television Stations, 129S. Ct. 1800(2009) をきっかけとするが、表現の内容について政府が規制をする場面で「表現の自由」という権利の性質、重要性が議論されており、そこからその普遍性にも議論の延長を見出すことができたからである。この判例について整理をすることに時間がかかり、一時は、本研究に関係がないのではとも考えたが、軌道修正し現在に至っている。具体的にいえば、この判例は放送において品位に書ける発言、言葉(いわゆるFワード)を使用することの是非が問われるものである。FCCはテレビ局に対してこうした放送を規制することが許されるのか否かが問われている。日本の放送制度とアメリカの放送制度は異なるが、日本においてもFCCのような機関を設けることが近年も議論されていたし、品位に書ける言葉も表現の自由の範疇で保護すべきなのか、引いて言えば表現の価値が低いと考えられるような表現物に対して、どのようなアプローチが憲法上妥当なのか、という問題は日米に共通して存在する。まさに、表現の自由という憲法上の権利の範疇を確定する作業であり、そこから「表現の自由」論の中身、普遍性の検討ができるのではないかと考えている。この検討は現在も進行中だが、論文にまとめる予定である。 昨年度は、同時に、フェミニズムの議論を参照したが、いまのところ、この議論を本研究課題に引きつけて検討するまでには至っていない。今年度の研究に引き継ぎたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題は、アメリカとフランスの議論を対象とするが、後者のフランスの議論について資料の読解が遅れており、研究に十分な材料が揃っているとはいえない状況である。語学力が原因だが、地道に進めていくつもりでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
11で記載した、フランスの議論についての資料の読解、検討に力を入れる。これを進めるうえでの問題に、フランス語能力が挙げられるが、語学の学習も並行することで対応していきたいと考えている。このほか、9で記載したアメリカのフェミニズムの議論を当該研究課題に引きつけて検討することにも力をいれる。現在、準備している論文に引き続き取り組みながら、上記のことを行うのが、今後の推進方策である。
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