2011 Fiscal Year Annual Research Report
抽象的危険に対する立法的対応-立法裁量の統制に関する基礎研究
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21730023
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
米田 雅宏 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 准教授 (00377376)
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| Keywords | 行政立法 / 抽象的危険 / 因果関係 / 警察法 / 環境法 |
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| Research Abstract |
研究課題の最終年度となる本年度は、過去2年間の研究成果を踏まえ、抽象的危険に対する立法的対応の全体像の把握に取り組んだ。昨年度までの研究では、「抽象的危険」(同時に「危険の疑い」「リスク」「傾性的危険」の概念)の法実証化に取り組み(行政)立法が対応すべき危険の種類を明確にするとともに、さらに行政立法と議会法律の異同を、法規の性質・立法制定権者の組織体・立法手続・立法裁量の広狭などの観点から整理・分析した。本年度は、前年度までに示された分析結果を具体的に検証すべく、危険防御に係る行政立法権限の不行使の違法性を相次いで認めた筑豊炭鉱じん肺国家賠償訴訟(最判平成16年4月27日民集58巻4号1032頁)と熊本水俣病国家賠償訴訟(最判平成16年10月15日民集58巻7号1802頁)を素材にして、行政立法による危険防御の全体像を把握することを試みた。特に前者の判例は、省令制定権限の不行使と各種個別的監督権限の不行使を一連の行為として見なすものであり、個別的措置による危険防御から行政立法さらには法律による危険防御への一連の過程を解明する上でも、本研究の中心的分析対象となった。なおその際、我が国の行政立法実務をより客観的に把握するため、その分析視座をドイツ警察法に求め、ドイツにおける警察命令(行政立法)権限の実態についても分析を行った。この比較法研究によって、我が国の行政立法による危険防御の全体像をその問題点とともに明確に示すことができたと考える。これら成果は、近く公表予定である。
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