2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730033
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
武市 周作 Chuogakuin University, 中央学院大学・法学部, 准教授 (70389617)
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Keywords | 保護請求権 / 保護義務 / 憲法 / 行政権 / 主観的公権 |
Research Abstract |
昨年度は当初、最近の(目安として2000年以降の)運邦憲法裁判所判例の整理・分析をする計画であったが、時代を遡って判例の歴史的展開を検討し、その成果を公表した。これまでの業績と関連させて研究を進めたこともあって、歴史的考察が中心となり、初期判例の中でも、特に夫婦合算課税違憲決定・リュート判決における客観的価値秩序論を整理・分析した。これらの判例はこれまでも少なからず議論されてきたところであるが、考察の前提として、第二次世界大戦後の全州議会評議会における基本権論を眺め、客観的価値秩序論と関連する手がかりを示すことができたのは有意義である。さらに、初期判例で説かれた客観的価値秩序論が、ヴァイマル期の基本権論に繋がることを提示することも今後の広がりの手がかりとなる。すなわち、ヴァイマル期や基本法制定段階の議論との関連性を示すことで、研究目的の一つである「保護義務・保護請求権と主観的公権論との関わり」に繋がる筋道を立てることができた。2009年度の研究は、直接には価値秩序論の考察に限定されたが、連邦憲法裁判所は保護義務を導出するにあたって、基本法の客観法的価値秩序を根拠としており、その限りでこの考察は保護請求権と密接に関連するものである。今後、最近のドイツの判例・学説を整理・検討するにあたっても、歴史的な展開を踏まえることには重要な価値があるといえる。
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Research Products
(1 results)