2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730034
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
楠 茂樹 上智大学, 法学部, 准教授 (70324598)
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Keywords | 競争 / 会計法 / 地方自治法 / 公共調達 / 公共工事 |
Research Abstract |
本年度においては、特に、競争性確保を品質確保の整合性を図るための一連の仕組み(具体的には最低制限価格の設定、総合評価方式の採用)についての制度面での考察を行うとともに、各地方自治体における実務上の問題点についての考察を行った。国主導の低入札価格対策(予定価格公表時期を含む)、品質確保対策の要求が地方自治体では実務上さまざまな困難を生じさせていることを明らかにし、地方版の制度設計、運用のあり方の研究を進めた。 全体的な考察としては、談合防止のための公共調達改革はきっかけとしては一定の評価ができるものの、その視点のみに偏った改革は現在においては大きな弊害を生じさせており、早急に修正が求められることを明確に意識するに至った。一般競争を無理に導入することによって、結果、一者応札が多発し、手続上のコストだけがかさむ状況に陥っている現状を打開するためには、透明性を徹底した上での随意契約の一部復活が望ましいとの結論に至った。水面下での官民協力が期待できない現在においては、発注者側の知識不足が弊害を顕在化させており、米欧にみる「調達庁」のような司令塔的存在を設け、そこに共有できる知識を集約させる(人材面も含め)ことの必要性を見出した。 これら研究成果は、例えば、以下の各機関における研究会等の成果に反映させた。 ・千葉市「入札制度検証委員会」報告書(2010.8)※副委員長として参加 ・行政刷新会議・公共サービス改革分科会ヒアリング(2010.11) ・奈良市「入札制度等改革検討委員会」提言(2011.3)※委員長として参加 なお、現在、論文「公共調達制度の現代的課題」を執筆中で、2011年度中に「上智法学」誌に公刊予定である。
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