2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730035
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
榎 透 Senshu University, 法学部, 准教授 (90346841)
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Keywords | ステイト・アクション / 民営化 / 規制緩和 / 公私区分 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年議論が活発な立憲主義論について目配りをしつつ、公私区分論について一定の視座を与えるアメリカのステイト・アクション論を1つの手かがりに、規制緩和・民営化の憲法理論を検討することである。すなわち、アメリカ憲法学が、公権力が民営化等によってそのサービスを私的権力に委譲するとどのような憲法問題を惹起するのか、とりわけ民営化等によって公共サービスを担う私的権力と憲法的統制との関係を考察するものである。 上記の目的を達成するため、平成21年度は、国内及びアメリカ合衆国において、民営化等との関係を論じたステイト・アクション法理に関する英語文献及び裁判例を収集し、その読解・分析を行った。その結果、従来ステイト・アクション法理に関する事例として日本で紹介されていた事例にも、鉄道、教育、福祉などの領域において民営化に関する複数の事例が存在すること、及びそこでの議論が重要であることを確認した。その上で、それぞれの領域における事業の憲法的統制の可否とその理由について調査・考察した。また、日本の民営化の現況を理解するために、刑務所、図書館、保育所、国民健康保険、及び地方公共団体が財団法人を設けて業務をすることに関する文献を収集し、現在取られている民営化の諸手法の問題点と、考えられ得る憲法上の問題点について論点の整理を行った。以上のように、公私の融解が進む領域における憲法上の問題点を抽出したが、平成22年度においても更なる検討を行う。
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