2010 Fiscal Year Annual Research Report
干渉の国際法規制における「客観法」と「主観法」の二元的規律構造
Project/Area Number |
21730039
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤澤 巌 千葉大学, 法経学部, 准教授 (20375603)
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Keywords | 国際法 / 干渉 |
Research Abstract |
本研究では、国家実行および理論上、干渉の規制については、客観国際法の次元における規律とは独立の、自立的な「主観的意味の法」=権利義務関係・法関係の次元が存在することを明らかにすることを目的とした。平成22年度は、干渉の規制について主導的な役割を果たしてきた米州における国家実行の展開を検討する。そのために、米州国際法理論史に関する書籍を調査、購入する。また、日本では入手できない資料を収集するため米国を訪問し、国立公文書館などで調査を行った。 調査の結果、米州の国家実行においていわば立法事実として具体的に問題となっていたのは、外交保護権の行使のための軍事的圧力および、内乱時における在外自国民保護のための軍隊派遣を意味する「関与」論であったことがわかった。この「関与」論は、「干渉」概念を定義する国際法規則の欠如を理由に、軍隊派遣の適法性を、国際法規則ではなく、例えば条約、私契約、政府の要請などに示される関与国と被関与国の間の具体的関係に依存させる試みと解釈することができる。これはまさに、客観法としての国際法規則とは別に、関与国と被関与国の間の主観法の水準を想定した議論であると考えることができた。 1933年と1936年の条約において確立した、「対内・対外事項」への不干渉は、国際義務の履行を強制するための強制および「関与」も禁止し、さらに政治的、経済的強制をも干渉概念に含めるという意味で、絶対的な不干渉を意味しており、その根拠は、諸国の法的平等にあった。
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