2009 Fiscal Year Annual Research Report
国際人権法上の社会権の裁判規範性と審査基準に関する研究:健康権を中心に
Project/Area Number |
21730048
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
棟居 徳子 Kanagawa University of Human Services, 保健福祉学部, 講師 (50449526)
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Keywords | 国際法学 / 社会権 / 健康権 / 裁判規範性 / 審査基準 |
Research Abstract |
本研究は、国際人権法における社会権の裁判規範性に関する議論を検討し、かつ国際人権法上の社会権保障のための実施措置における事例と、各国の判例を検討することにより、社会権の司法判断可能な内容とその審査基準を特定することを目的としている。 その目的を達成するために、本年度は以下のことに取り組んだ。 1. 社会権規約選択議定書の分析:(1)社会権規約選択議定書の起草過程の議論について、国連文書及び関連文献を収集・整理、(2)社会権規約選択議定書の要点及び課題の検討を行った。 2. 自由権規約等の通報事例の検討:自由権規約委員会に通報された事例の収集を行った。 3. 健康権に関する特別報告者へのインタビュー調査:(1)国連の健康権に関する特別報告者への通報事例を収集・整理、(2)前・特別報告者であるPaul Hunt教授(英国・エセックス大学ロースクール)に、特別報告者への通報における審査基準と通報の実効性について聞き取り調査を行った(2009年8月26日、於英国)。 4. 国内外の社会権及び健康権の裁判規範性及び審査基準に関する研究の整理と検討:(1)社会権の裁判規範性に関する海外文献の収集・整理、(2)Brigit Toebes博士(デンマーク・Danish Institute for Human Rights)と日本及び各国における健康権の遵守状況に関するモニタリング調査について打ち合わせを行い、各国における健康権実現の課題と今後の共同研究の展開について議論した(2009年8月23日、於デンマーク)。 5. その他:上記のような海外の国際人権法学者とのやり取りを通して、健康権の実現のためには保健医療従事者への人権教育が不可欠であるという認識から、健康権保障における保健医療従事者の役割と人権教育の国際的動向について論文にまとめ発表した。
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Research Products
(3 results)