2010 Fiscal Year Annual Research Report
法廷における主張立証(アドヴォカシー)の技術と証拠法―その理論的考察―
Project/Area Number |
21730058
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笹倉 宏紀 慶應義塾大学, 法務研究科, 准教授 (00313057)
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Keywords | 刑事訴訟法 / 証拠 / アドヴォカシー |
Research Abstract |
平成21年度の研究着手の時点では,法廷における検察官,弁護士のプレゼンテーションの技術(言葉遣い,発話の方法,証拠の展示の仕方,弁論における文章の組み立て方など)と証拠法の関係に関心が向いていた。しかし,その後の研究の過程で,一方では我が国の裁判員裁判における公判立証の実態に接し,他方では,我が国とアメリカにおける公判の実態の比較検討を行ったことによって,上記のような技術を駆使する前提となる,証拠と立証すべき事実の選別のあり方こそが,法的(理論的)観点からはより喫緊の検討課題であるとの認識が鮮明になった。 そこで,今年度においては,これまでに収集し得た文献・資料をこの観点から分析し直すとともにその補充に努め,この観点から証拠法の基本概念を検討する論稿1本を執筆した。その過程で自らの思考の過程を反芻し,また,他の研究者と意見を交わすことを通じて,事業最終年度に向けた見通しを立てることができた。 なお,年度内の研究活動の仕上げとして他大学の研究者との意見の交換を行い,それを踏まえて追加的な資料の収集を行うことを予定していたところ,東日本大震災の発生とそれに引き続く大学内外の混乱のために年度内の実施が不可能となったので,平成23年度に延期(繰越)して実施した。
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