2011 Fiscal Year Annual Research Report
法廷における主張立証(アドヴォカシー)の技術と証拠法ーーその理論的考察ーー
Project/Area Number |
21730058
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笹倉 宏紀 慶應義塾大学, 法務研究科, 准教授 (00313057)
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Keywords | アドヴォカシー / 証拠 / 刑事訴訟法 |
Research Abstract |
平成23年度は最終年度に当たることから,過去2か年度における研究の成果を踏まえ,主に年度前半に(1)文献資料の補充に努めた。また,前年度までの研究の過程で,アドヴォカシーとは事実・証拠の見せ方の単なる技術・技法を意味するのではなく,見せるべき事実・証拠の選別とそれらを見せる技術の総体であるとの認識が明確になったことから,今年度は,過年度に収集し得た情報をこの認識に基づいて分析し直した上で,(2)研究者及び実務家と意見を交換し思索を深めた。その一環として,学外の研究会で,見せるべき事実・証拠の選別という観点から近時の上級審の裁判例を分析する報告を行い,研究者と実務家の双方と議論する機会を得た。 さらに,年度末には,3か年にわたる研究の総括に向けた情報の収集と思考の整理を目的として,(3)米国において,法廷傍聴及び法曹関係者からの聴き取りを内容とする実態調査を行った。研究の取っ掛かりとして基礎的情報を得る目的で行った初年度の海外調査とは異なり,3か年の研究を経て明確になった問題意識に基づく直載な調査,より具体的には,事実と証拠の選別のあり方・見せ方を規定する複数の要素を抽出,同定することに特化した実態調査を行うことができた。 研究成果として年度内に形を成したものは,アドヴォカシーを論ずる基礎となる刑事訴訟法の基本的構造を確認した論稿1本である。上記(2)の研究会報告を早期に活字化すること,及び,年度末の海外調査の結果の分析を済ませた上で,それを踏まえた3か年の研究の全体を総括する論稿を公にすることが,今後の課題である。
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