2009 Fiscal Year Annual Research Report
交通事犯への量刑対応からみた刑法の現代的機能の考察
Project/Area Number |
21730060
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
星 周一郎 Tokyo Metropolitan University, 大学院・社会科学研究科, 教授 (10295462)
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Keywords | 刑法 / 量刑論 / 交通事犯 |
Research Abstract |
近時、「社会の安全の確保」、「国民の持つ不安解消」などの視点から、刑事規制に対する要請がこれまでになく強まっている。交通事犯の「重罰化」はその象徴ともいえる。 本研究は、まず、この交通事犯に関する量刑について理論的検証を加え、刑法に対する国民の要請に応える諸要因の内実、およびその理論的根拠を解明することを目的とするものである。その際には、アメリカ法との比較検討もあわせて行うことにしている。(1)自動車大国アメリカにおける交通事犯に対する刑事的対応に関して、わが国では各論的な研究がこれまでほとんどなされていないこと、また、(2)アメリカ法における量刑については、いわゆる量刑ガイドラインを検討する必要があるが、同ガイドラインにおける具体的な量刑因子の分析がこれまで十分になされていないこと、がその理由である。また、量刑ガイドラインの具体的な検討を介することにより、平成21年度から開始される裁判員裁判における量刑のあり方について有意義な示唆を得ることも、研究目的の1つとして考えている。 このような観点から、平成21年度は、文献調査を中心として、アメリカにおける交通事犯に対する近時の立法動向を調査した。それと並行して、量刑ガイドライン制定の背景や、現在の問題状況に関する調査研究も行った。これらは、いずれも、平成22年度に行う予定の、現在のわが国における「重罰化」対応の意義や妥当性を検討する際の、比較法的研究のための準備作業と位置づけられるものである。
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Research Products
(3 results)