2012 Fiscal Year Annual Research Report
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21730071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中原 太郎 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (60401014)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 民事法 / 不法行為責任 / 企業責任 / 使用者責任 / 個人責任 / 土地工作物責任 / 労働者責任 / 現代的結合関係 |
Research Abstract |
本年度においては、事業遂行者の不法行為責任の中で伝統的に最も議論が蓄積されてきた使用者責任法理及び関連諸法理に関する研究をほぼ完結させるとともに、事業遂行の物的側面に関する検討も行った。第一に、「事業遂行者の責任規範と責任原理」と題する論文に関しては、これまで公表した日本法及びフランス法の分析に引き続き、ドイツ法の分析を完結させるとともに、わが国における使用者責任論のあるべき方向性に関して提言を行い、平成22年度以降継続してきた連載(10回)を完結させた。そこでは、(1)ドイツ法上、過失責任に基づく諸法理により使用者の責任に関する責任体系が構築されていること、様々な局面で論じられる労働者の個人責任においても同様の理論的観点に立脚しつつ使用者の責任との相違が実現されていること、(2)フランス法及びドイツ法の検討からは、事業遂行者の責任規範として、強い支配・統御に基づく代位責任規範と危険の創出・支配に基づく過失責任規範とが導かれ、両者の交錯という観点から、わが国の使用者責任論の現状を整理するとともに、古典的な使用関係外の人的結合関係の法的処理及び個人責任に関して一定の革新をはかるべきことを指摘した。なお、本論文に取り込むことはできなかったが、ベルギー法等の他国の状況に関しても検討を蓄積した。第二に、「国家賠償責任と使用者責任」と題する論文に関しては、「私人の行為による国家賠償責任」に関する検討に引き続き、近稿において、行政法学説上論じられてきた責任構造論の問題点を指摘し、上記論文の成果を踏まえた新たな整理を提示するとともに、国家賠償責任の独自性という観点から国家賠償責任と使用者責任の関係の理論的再検討を行う予定である。第三に、事業遂行の物的組織に関する責任については、フランス法における無生物責任の法理に関する検討をほぼ終えたところであり、近いうちにその成果を公表したい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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