2012 Fiscal Year Annual Research Report
現代契約法におけるプレ・モダンの法の再生とその法史学的再定位
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21730074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 博康 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (90323625)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 民法 / 契約法 |
Research Abstract |
本年度は、まず、2010年度に刊行した単行本『「契約の本性」の法理論』における研究をより個別的なテーマにおいて掘り下げることを目的として、免責条項規制に関するフランスの判例理論としての本質的債務論の展開について検討を行った。特に、本質的債務に対する違反があった場合でも、その債務の射程と責任制限条項との矛盾関係が認められない限りは当条項は排除されない旨判示した破毀院商事部2010年6月29日判決(フォルシア2)は、免責条項規制の理論的根拠を本質的債務との整合性の観点に求める立場により親和的であり、理論的にも実践的にも注目される判決である。もっとも、免責条項と本質的債務との実質的な矛盾関係を問うという思考は、適正な対価的均衡の確保等と結び付けられるべきものではなく、本質的債務を中心とした規範構造の階層性を基礎として、自ら負担した本質的債務との整合性を問うものとして構造化されなければならないという点には、留意を要する。 以上の他、比較法国際アカデミー(International Congress of Comparative Law)のテーマ会議“Congress on Codification”において、小テーマ“The Codification of Private Law”に関しナショナル・レポーターとして報告書を執筆した。そこでは、特別法の氾濫などによる法典の空洞化という現象は、日本の民法典、特に債権法に関しては比較的軽微なものにとどまっているが、むしろそのために大規模な再法典化の必要性はより強いものとなっていることを指摘した。また、その再法典化における指針は、個々の法制度を機能させるための理論的・社会的な諸前提とそれらに関する日本の現状を踏まえて定められるべきものであり、従って、そこではそれらの諸前提についての法史学的な洞察に決定的な意義が認められるべきことになる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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