2011 Fiscal Year Annual Research Report
契約不履行と「救済」決定プロセスの研究-契約法の「現代化」を受けて
Project/Area Number |
21730078
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉政 知広 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (70378511)
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Keywords | 民法 / 契約法 |
Research Abstract |
近年、世界の各国において、契約法の規律を全面的に見直す「現代化」が進められている。日本においても、2008年にウィーン売買条約(CISG)の批准がなされたほか、民法(債権法)の全面改正へ向けた検討が、法制審議会民法(債権関係)部会において進められている。学界においても、これらの動きを意識した研究が活発にすすめられている。 本研究は、このような立法・改正作業に寄与すること、および、新たな契約法の運用の指針を提示することを目的として、契約違反に直面した当事者に与えられる「救済」を決定するプロセスの解明を目指すものである。 本年度(平成23年度)は、主として、研究代表者のこれまでの研究成果を進めて、契約締結後の事情変動を理由とする契約改訂に関する研究を取りまとめる作業を行なった。その成果が、研究発表欄に掲げた研究論文である。 従来の議論においては、当事者が締結した契約を修正するという観点から契約の改訂を正当化しようとする議論が支配的であったのに対して、同論文では、契約当事者の自律的な契約改訂を促進・支援するという観点から、裁判所による契約の改訂を正当化しうることを示した。このような理解は、各種の民法(債権法)改正提案においても採用されている、当事者の締結した契約を基準とした契約責任論とも整合的なものであり、本論文で示した契約改訂の要件・効果は、今後の立法・改正作業だけでなく、改正が実現した後の運用に対する指針となり得るものだと考えられる。
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Research Products
(3 results)