2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730081
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浦野 由紀子 Kobe University, 法学研究科, 教授 (70309417)
|
Keywords | 民事法学 / 方式 / 法律行為 |
Research Abstract |
今年度におこなった研究の内容は、以下の2点である。1.基礎的文献・資料の収集:比較法の基礎的作業として、日本法およびドイツ法における要式行為に関する基礎的文献(モノグラフィー・雑誌論文等)の収集に努めた。2.日本における学説状況の整理:当初の研究計画では、今年度はドイツ法の要式行為に関する学説や裁判例の状況を分析・検討し、要式性にどのような意義・役割が認められるかを明らかにするとともに、方式違背の効果の検討を通じて、法律行為の拘束力の根拠を探究することを予定していた。しかし、あらゆる要式行為を横断的に分析するドイツ法の研究書を講読するうちに、まずは現在、わが国で要式行為とされている行為についてどのような議論があるか、わが国の要式行為に関して議論が未だ尽くされていない点として具体的に何があるか、横断的分析の可能性などの諸問題を明らかにしたうえで、来年度以降に改めてドイツ法の文献研究をおこなうほうが、より効率よく示唆が得られると考えた。そこで、日本法における学説の状況について、整理を試みた。もっとも、今年度は、議論の蓄積が最も多い遺言についてしか検討を進めることができなかった(検討の成果は、現在執筆中の教科書に反映させている)。本研究が対象として重視したいのは要式の契約であるので、来年度以降も、要式契約(とくに保証契約など)を対象に日本法の分析を続けて、ある程度の見通しを得たうえで、ドイツ法の文献研究に戻りたいと考えている。
|