2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浦野 由紀子 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70309417)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 民事法学 / 法律行為 / 方式 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度からの継続課題である①要式契約における方式要件の目的、②方式違反の効果、③方式違反の治癒の可能性及びこれを正当化する論理構造の3点のうち、③を重点的に扱った。 ドイツ法は方式違反の行為を原則として無効(BGB125条)とするが、例外もある。まず、a)方式違反の行為について、一定の場合に例外的に方式違反が治癒され、当該行為が有効となる旨を定める特別規定がある(例えば、BGB311b条、518条、766条等)。これらの規定が適用される要式契約(土地所有権の移転、贈与、保証)では方式の警告機能が重視されるところ、この機能によって保護されるべき者が無効な契約による債務を後日履行した以上、もはや警告機能を維持する必要はないことを理由とする。b)さらに、そのような例外規定のない要式契約についても、方式要件の機能・目的(誰に対する保護を図るものか等)を考慮して、目的論的観点から、方式違反=契約無効という原則的効果を制限しうるかどうかが議論されている。これについて、ドイツの判例は、方式が契約の一方当事者の保護に資する場合には、保護の対象としていない他方当事者による方式無効の主張を信義則(BGB242条)によって封じることを認める一方、第三者保護・法的安定性や法律関係の明示のために方式が定められた場合(典型例として、家族法や物権法上の行為)については、無効という原則を維持する等している。 日本法は、方式違反の行為の効力について、ドイツ法のような原則的な規定を用意しておらず、要式性を定める各規定の解釈に委ねられる場合が多い。これに関して、裁判例には、方式要件の機能・目的に着目して方式要件を解釈して、方式要件の内容を実質的に緩和したり、事案の個別具体的事情を考慮するなどして、形式的には方式違反にあたりうる行為について方式違反にあたらないとの解釈を導いたりするものもみられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)