2011 Fiscal Year Annual Research Report
包括担保化時代における事業再生・債権の優先順位の比較法的考察
Project/Area Number |
21730090
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高田 賢治 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (40326541)
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Keywords | 民事法学 / 倒産法 / 事業再生 |
Research Abstract |
包括担保化時代における事業再生・債権の優先順位の比較法的考察という研究課題を遂行するため、イギリスの倒産法およびコーポレート・ファイナンス法の文献を収集し、分析を進めた。動産や将来債権など不動産以外の財産を包括的に担保として設定することが可能であるとすると,一般の無担保債権者に対する平等な弁済を目的とする倒産手続は,どのような役割を果たすことができるのかという問題意識で研究を進めた。 その結果として,平成23年11月28日に開催された第16回ABL法制研究会において,「イギリスにおけるABL(包括担保)と事業再生」というテーマで研究報告をした。同研究会は,倒産法研究者のみならず民法研究者,実務家なども多数参加する研究会であり,有益な議論ができた。その結果,イキリスでは,企業金融において包括担保が以前から定着していること,倒産の場面では担保権者の目的財産から一定割合が無担保債権者に割り当てられること,担保権者中心の手続から無担保債権者への配慮を促すような事業再生手続に改正されていることなどがわかった。第17回研究会では『フローティングチャージの展開と変遷』や『イギリスにおける「浮動担保」・「固定担保」の判断基準-Spectrum判決に至るまでの裁判例の変遷を中心に-』というイギリスに関する研究報告があり,本研究テーマと密接に関係しており,有益な示唆を得ることができた。 なお,現在は,上記研究報告を基礎として,イギリスにおける包括担保と事業再生に関する論文にまとめる作業に取りかかっている。今後,研究論文として公表する予定である。なお,これまで論文として公表した研究成果の一部を含む単著を刊行した。さらに,昨年度末の段階では刊行予定となっていた2件の論文が予定通り公表された。
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Research Products
(4 results)