2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル消費者法における広告・表示規制の私法的効果に関する基礎研究
Project/Area Number |
21730092
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 美千代 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (70388065)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 消費者契約 / 意思表示 / ラテンアメリカ / ブラジル |
Research Abstract |
平成24年度に、主たる研究対象であったブラジル消費者保護法典に対する改正草案たる三種類の上院執行部草案が提出された。三種類の内訳は、1電子商取引に関する草案、2多重債務問題に関する草案、3消費者団体訴訟に関する草案、である。このうち、1の電子商取引草案は、平成25年3月に大統領が署名し、ブラジル消費者保護法典中、(1)第1編「消費者の権利」第1章「総則」中の複数の条文に合計四つの新しい項および号が追加され、(2)同編第5章「取引行為〔取引実務〕」に第7節「電子商取引」が新設され、また(3)同編第6章「契約上の保護」第1節「総則」中の放棄権(撤回権、クーリングオフ権)に関する第49条に、新たな八つの項(2項から9項)が追加されることになった。(1)については、四つの改正案中、「消費者にとって最も有利な」という文言がそのうちの三つで加えられた。(2)については、不招請勧誘規制を明文化し、(ブラジル消費者保護法典では既存の)民事罰制度を適用して、事前的・抑止的救済を図っている。(3)については、放棄権(撤回権、クーリングオフ権)の拡充を図り、店舗取引でも製品の中身が確認できなかった場合などに放棄権行使を認め、違反に際しては民事罰制度が適用される。わが国においても、不招請勧誘規制として、「状況濫用」の要件論を参考に、「退去・不退去」の亜種として消費者契約法上の取消権を付与するのが妥当である一方で、契約の無効や取消しといった事後的救済のみならず、特に過大なリスクを伴う金融商品についての不招請勧誘に伴う甚大な利用者被害に鑑みれば、一定の事前的・抑止的救済が求められる。正面から民事罰制度を導入することが難しければ、要件を緩和した不法行為責任(709条)としての導入があり得よう。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|