2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730096
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三枝 健治 Waseda University, 法学学術院, 教授 (80287929)
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Keywords | 赤ちゃんポスト / 子の福祉 |
Research Abstract |
本研究は、我が国での「赤ちゃんポスト」の法制化の要否と具体的な制度のあり方について立法提言することを目標に、その手がかりとして、本年度は、まず手始めに、アメリカの赤ちゃん避難所制度の実像を明らかにすることを主要な課題として研究を進めた。 同制度は、概略、所定の赤ちゃん避難所に子を捨てた親の行為を一定の要件の下に免責するととともに、その匿名性を保証し、以て子殺しの発生を防止しようとするものである。各州で採用された同制度の内容については、三枝健治「赤ちゃん避難所法(Safe Haven Law)」(一)一いわゆる赤ちゃんポストの是非を巡って」早稲田法学83巻4号(2008)に整理のうえ既に公表済であるが、文献調査の結果、同論文公表後も、新しく制度を導入した州や、導入済みの制度を改正した州が存在していることが明らかとなったことから、そうした新たな動向を反映した同制度を巡る最新の状況を正確に把握するよう努めた。そして、近時、制度導入州が拡大する一方、反対運動も各州で強まり、賛否両論の状態がなおも続いていること、また、州によって幾つか制度のヴァリエーションがあり、そうしたヴァリエーションに同制度に対する微妙なスタンスの差が窺えること等を調査により確認し、かかる混沌とした状況下、賛成・反対論のそれぞれが、同制度の導入・設計設計・改正を巡る議論の展開にどのような影響をもたらしたか、慎重に分析を進めた。この分析を進めるにあたり、現地でヒアリング等の実態調査を行い、規定上の制度的仕組みに止まらず、その実際の運用面の課題について理解を深めたことが大いに役立った。
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