2009 Fiscal Year Annual Research Report
著作権法における権利帰属の法理および権利行使のあり方に関する基礎的考察
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21730101
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蘆立 順美 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 准教授 (60282092)
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Keywords | 著作権 / 著作者 |
Research Abstract |
著作権法に関して、権利帰属に関する制度についての資料収集および分析を行った。今年度は、主に、わが国の著作権法の職務著作制度と映画の著作物の権利帰属に関する規定に関する文献を中心に、旧法、および現行法の立法時の議論等についての文献収集を進め、その立法趣旨と両制度の関係の理解について分析を進めた。加えて、両制度に関する裁判例についても調査・分析を行い、それぞれの立法趣旨が各要件の解釈、および当てはめにどのように影響を及ぼしているのかについて整理した。 また、デジタルコンテンツの流通に関する議論に関わる文献の収集も行った。特に、権利制限規定における公正利用(fair use)規定の導入に関して、文化審議会著作権分科会等を中心とした議論の動向を調査し、また、米国のfair useに関する近時の裁判例及び学説に関する資料の収集・分析にも着手した。 さらに、比較法に関しては、米国や欧州における権利の帰属に関する文献・資料の調査収集を進めたほか、著作物のデジタル化・再利用において、孤児著作物(orphan works)が生じさせる問題に関しても調査を行った。この問題については、米国、欧州における権利処理の在り方に関する学説等の議論、電子図書館構想に関連して各国が行っている取組や対応策について調査した。また、今後の取りうる選択肢として提示されている、著作権法の改正、新たな権利処理システムの構築、登録制度の活用の可否に関する議論等についても、調査と資料収集を行い、わが国における導入の可能性についての分析を行った。
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