2010 Fiscal Year Annual Research Report
著作権法における権利帰属の法理および権利行使のあり方に関する基礎的考察
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21730101
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蘆立 順美 東北大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (60282092)
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Keywords | 著作権 / 著作者 |
Research Abstract |
(1)昨年壌に引き続き、著作権法における、権利帰属に関する制度についての資料収集および分析を行った。また、原始的に権利が帰属する主体である著作者の認定においては、問題となる著作物の創作性判断が影響を及ぼしていることから、著作権法における創作性概念に関する調査、資料の収集にも着手した。 我が国における創作性判断の最近の裁判例の動向について、調査・整理することに加えて、比較の対象として、イギリス著作権法における創作性概念の変遷に関しても調査の対象とすることとした。その理由は、他の欧州諸国とは異なり、イギリス法においては、創作者の個性の表れではなく、技能や労力を考慮し得る一般論を採用してきており、こうした創作性判断が、著作物の利用の側面において、どのような影響を与えるかについての検討をする意義があると考えたためである。また、近時、欧州内においては、欧州司法裁判所の判断等を通じて、各国における著作物性概念の統一を進めるような動きも出てきており、この点の動向についても調査の対象に含めることとし、資料の調査、収集を行った。 (2)権利制限規定における公正利用(fair use)規定の導入に関して、文化審議会著作権分科会における議論、および報告書の内容やパブリックコメント等に関して、調査・分析を行った。 (3)著作物の流通に関わる技術的な制限手段にかかる法的規制について、裁判例(東京地裁平成21年2月27日判決・判例集未登載)の分析を行い、判例評釈として公表した。
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