2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト地方分権時代のフランス都市近隣住区における居住者ガヴァナンスの可能性
Project/Area Number |
21730119
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
中田 晋自 Aichi Prefectural University, 外国語学部, 准教授 (60363909)
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Keywords | フランス / 地方分権 / 地域民主主義 / 近隣民主主義法 / 近隣民主主義モデル / 住区評議会制 / アミアン市 / リール市 |
Research Abstract |
本研究の目的は、2002年の近隣民主主義法によって提起された「近隣民主主義」をまさに21世紀フランスに登場した新しい公共政策調整モデルと捉え、これを理論的に検討するとともに、同法により設置を義務づけられた諸都市における「住区評議会」の実践状況を現地調査することで、特に同国の都市近隣住区における居住者ガヴァナンスの実現可能性について検討することにあった。 こうした目的を踏まえ、(1) パリ市(国立図書館、政府刊行物資料館、大型専門書店)において、今後の研究において必要となる基礎的な文献や資料の収集をおこない、(2) 新しい公共政策調整モデルとしての「近隣民主主義」に関する理論的研究をさらに進めるとともに、(3) 次年度以降の本格的調査について協力依頼をすべく、アミアン市とリール市の市役所を訪問し、基礎的な資料の提供を得たことで、(4) 新設「住区評議会」制の実践状況を都市間比較するための分類基準・評価基準を整理することができ、平成22年度・23年度に実施予定の調査研究における諸課題が明確にされた。 特に(2)については、近隣民主主義法の立法者たちが、「ミニ・パブリックス」としての住区評議会の政治的正統性を各市議会による制度設計の規定によって担保しようとしたものと理解されるが、市議会はまさに住区評議会の直上公選議会であって、このミニ・パブリックスとの政治的競合を避ける観点から、予算配分権や最終的決定権を認めない構図にならざるを得ないことが明らかにされた。
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