2010 Fiscal Year Annual Research Report
公務員制度における「政治任用」と政官関係:国際比較分析
Project/Area Number |
21730124
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
出雲 明子 東海大学, 政治経済学部, 講師 (10510076)
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Keywords | 政官関係 / 政と官 / 公務員制度 / 人事行政 / 政治任用 / 資格任用 / キャビネ(大臣官房) / 高級職公務員(仏) |
Research Abstract |
本研究は、公務員制度研究上の一つの論争的な概念である「政治任用」を国際比較分析で定義し、日本の政治任用の位置づけと公務員制度改革における論点を明らかにすることを目的とする。本年度は、研究実施計画に従って「融合した政官関係」を特徴とするフランスに関する資料・文献調査および現地調査を実施した。また、昨年度から継続して、イギリス公務員制度の研究対象を給与に発展させ、研究成果の論文を公表した。さらに、近年の動向も含めた日本の政治任用に関する研究報告を行政学会で行った。 フランスの現地調査を実施するにあたって、まず資料を通じて、公務員制度の概要と実態とともに、サルコジ大統領就任以来、地方長官で顕著にみられる政治任用上の変化を調査し、現地調査での質問事項を明確化した。それに基づいて、政治学および行政学分野での政治任用研究者、首相府事務総局、公務員省行政公務員総局、エナ、エナOB会でインタビュー調査を実施した。具体的に明らかになった事項としては、一見融合する政治家と高級官僚ではあるが、高級官僚としてのキャリアと政治家としてのキャリアは分離されること、政治的キャリアのリスク低減のためにOB会やその省庁支部などが多元的な競争を展開し、受け皿となる仕組みが確立されていること、これまではコールの影響が及んでいた高級職にも顕著な政治化が進行していること、ただし、それへの批判もありアメリカ型の議会による関与に向けた議論が進展していること、などである。また、インタビュー調査を通じて、わが国の政官関係の構築と政治任用の制度設計、政治任用への規制のあり方を指摘することが可能となり、公務員制度研究の新たな論点として成果の公表をする予定である。
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Research Products
(2 results)