2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730128
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保 慶一 早稲田大学, 政治経済学術院 (30366976)
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Keywords | 政治学 / 比較政治 / 政党 / 旧ユーゴスラビア |
Research Abstract |
本研究は、比較政治学の理論的枠組みにもとづいて、旧ユーゴスラビア諸国における政党の内部構造と機能を明らかにすることを目的とし、(1)政党の内部構造、(2)議会における議員の行動、(3)政党の機能という3つの点で旧ユーゴ諸国の事例の比較分析を行うことを目指している。平成22年度は、平成21年度に収集した資料の整理と分析作業を開始し、そのために必要な最新の統計分析ソフトの導入などを行って分析作業のための基盤整備を進めた。また、平成22年3月にモンテネグロを訪問して現地調査を実施し、分析に必要な資料の追加的収集を行った。この現地調査により、モンテネグロについて、とくに(1)主要政党の党規約など、党制度を規定する基本文書、(2)党首選の結果や党首交代の内情など、党首の決定・交代に関わる資料、(3)政党関連法という3種類の資料の収集において大きな成果を得ることができた。またモンテネグロの研究者や政党関係者に対する聞き取り調査を通じて、同国の諸政党の内部構造と機能について、深い洞察を得ることができた。平成21年度と22年度に収集した資料の分析により、旧ユーゴ諸国の政党の内部構造や機能が、これらの国々における民主主義の質と密接に関わっていることが明らかとなってきた。たとえば、これらの国々では多くの政党において党首や党執行部を選出する党内選挙が存在しないか形骸化しており、党内における党指導者や執行部の影響力は絶大なものとなっており、党内民主主義があまり発展していないことが明らかとなった。またこれらの国々では政党資金の透明性を確保するための制度的基盤が脆弱であり、それが深刻な汚職の源泉となっている実態が明らかとなってきた。平成23年度には、これまでに収集した資料の分析をさらに進め、研究成果を学会発表や論文・書籍の形で発信することを試みていく予定である。
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